飛騨高山を訪れたらぜひ味わいたいご当地グルメが「中華そば(高山ラーメン)」。飛騨地方では、“そば”と言えばこの中華そばを指すほど身近な存在で、年越しそばとして食べる家庭も多いのだとか。この記事では飛騨高山中華そばの特徴や歴史に迫ります。
※2025年7月取材時の情報です

飛騨高山中華そばの魅力
飛騨高山中華そばは、かつお節や魚ダシの効いたしょうゆ味のスープと、平打ちの細麺を使っているのが大きな特徴。濃い色のスープはあっさりした味わいで、基本の具材もネギ・チャーシュー・メンマとシンプルです。

一般的なラーメンはタレとスープを別で用意しますが、飛騨高山ラーメンは寸胴鍋でタレとスープを一緒に煮込んで作ります。そのため、同じお店でも煮込み具合や時間帯による味わいの変化を楽しむことができるのです。
飛騨高山中華そば80余年の物語
中華そばの始まりは、1938(昭和13)年に登場した一台の屋台。「まさごそば」の初代店主・坂口時宗さんが東京で「支那そば」と出会い、作り方を学びました。
やがて高山に移り住んだ坂口さんは、昼間は料亭で働きながら夜に屋台で「支那そば」に改良を重ねた「中華そば」を振舞うように。寒さ厳しい高山の夜に素早く振舞えるよう編み出されたのが、醤油のタレをスープと一緒に寸胴で煮込む方法でした。
高山の醤油文化も相まって、戦後には芝居や映画を観た後に中華そばを食べるスタイルが定着します。やがて全国的なラーメンブームに乗って「高山ラーメン」という名前で広まりました。
中華そば伝承会の活動
岐阜県内各地の店舗でいただける中華そばですが、昔ながらの中華そば専門店は年々減少しています。中華そば文化を残し・守り・伝えていきたい――そんな想いから、2017年に老舗中華そば専門店の店主が集まって「飛騨高山中華そば伝承会」を設立しました。


伝承会は中華そばマップの作成や大手食品メーカーが販売するカップラーメンの監修といったPR活動を展開。また、後継者支援や技術の伝承にも力を入れています。例えば、加盟店の「豆天狗」が店主の引退により閉店の危機にあった際には、縁ある製麺所に事業を引き継ぐためのサポートを行いました。
飛騨高山中華そば伝承会
【HP】
https://goaheadworks.com/lp/takayama-cyukasoba/
現在の豆天狗では、豚骨・鶏ガラ・野菜・削り節・煮干し等を8時間ほど煮込んだ昔ながらの味を伝えています。そして、8月26日(火)、新店舗の「三代目豆天狗」(高山市新宮町3569-1)がオープンしました!

魚介香るスープがちぢれ麺にしっかり絡み、風情ある高山のまち歩きで疲れた体に染み渡ります。
豆天狗 高山本店の外観 豆天狗/麺の清水屋 代表・清水將行さん
飛騨高山中華そばは、昔懐かしのしょうゆ味と独特の製法が生み出す奥深さが魅力。 その背景にある文化や歴史に想いを馳せると、一杯がより特別に思えるはず。
ぜひ高山を訪れた際は、地元の名店で堪能してくださいね♡
豆天狗
【住所】
高山市下一之町3番地3
【営業時間】
11:00〜16:00
※スープがなくなり次第終了
【定休日】
無休
【席数】
14席
【駐車場】
近隣の有料駐車場を利用
※いちのまちパーキングにて30分無料サービス有
【TEL】
0577-33-5177
【Instagram】
@mametengu1948