今年も5月11日にぎふ長良川の鵜飼が開幕。鵜飼に欠かせない鵜のことや、あまり知らない鵜匠さんについて…などなど、気になる鵜飼のあれこれを直接鵜匠さんに聞いてみました!
現在設置中のぷらざ5・6月号では、初めてでも安心の鵜飼観覧の流れや、楽しい鵜飼関連イベントの情報も紹介しています。ぜひ誌面と合わせてご覧くださいね。

ぎふ長良川の鵜飼のキホン
鵜飼とは、宵闇の中篝火の明かりだけで鵜を操って鮎を獲る古典漁法のこと。伝統衣装に身を包んだ鵜匠さんが巧みな手縄さばきで10~12羽の鵜を操ります。
中でも、1300年以上の歴史を誇るぎふ長良川の鵜飼は国の重要無形文化財に指定されており、6名の鵜匠(小瀬鵜飼も含めると9名)は「宮内庁式部職鵜匠」という役職に任命されています。
毎年5月11日~10月15日に開催される、岐阜の夏の夜を彩る風物詩です。

鵜匠さんをご紹介
取材をさせていただいたのは、「マルヤマ」の屋号で知られる山下哲司鵜匠と息子の雄司さん。
鵜匠という職業は代々鵜匠家に生まれた男性が跡を継ぐ世襲制で、雄司さんは鵜匠補(うしょうほ)として一緒に鵜舟に乗り、山下哲司鵜匠の技を見て修行の日々を過ごしています。

意外と知らない「鵜」について
まずは鵜飼で鵜匠さんの相棒として働く「鵜」を見せていただきました。
鵜飼に使用されている鵜はカワウではなく、茨城県日立市の伊師浜海岸でつかまえられたウミウ。体が大きい方が魚を多く獲れるため、オスであることが多いそうです。


かぎ状のくちばしと、きれいな青い目が特徴的。実は目の表面には膜がありゴーグルのような役割をしてくれるため、水の中でもよく見えるのだとか。

ちなみに、鵜といえば宵闇に紛れる黒い羽をしていますが、若い鵜は全体的に茶色く胸のあたりは白色をしています。

相性の良さそうな2羽を「かたらい」というペアにして、移動の籠に入れるときや寝るときなど一緒に過ごさせます。そうすることで普段の生活や鵜飼の仕事の際に扱いやすく、鵜にとってもリラックスして過ごせるようになるんだとか。

オフシーズンの鵜匠さんの日々
5月11日~10月15日の鵜飼シーズン中は、毎日鵜飼を行っている鵜匠さん。オフシーズンには、翌年の鵜飼に備えて道具の手入れや準備を行います。腰みのを作ったり首結いの紐を新しくしたり、中でも篝火の松割木は大量に用意する必要があり、丸太を切って薪を割って乾かして…と、ひときわ大変な作業なんだそうです。

また、鵜とは1年中一緒に暮らしているので、もちろんオフシーズンも毎日お世話。エサをあげたり鳥屋を掃除したり、新入りの鵜を川へ連れて行って慣らしたりしながら、鵜も来シーズンの鵜飼に備えます。

鵜飼の見どころ
鵜飼は現在も全国12ヵ所で行われていますが、その中でも長良川の鵜飼は1300年以上途絶えることなくずっと続いている特別な存在。伝統を守り続けるというのは簡単なことではありませんが、「今まで続いてきた鵜飼をこれからも繋いでいくという強い使命感を感じている」と山下哲司鵜匠は語ってくださいました。
長い歴史の中で織田信長や徳川家康、チャップリンなどの偉人たちが見たのと同じ篝火を、景色を、今も見ることができるのはとても貴重な体験です。さらに鵜匠さんの技術と、鵜とのコンビネーション、船頭の艫乗り・中乗りとのチームワーク…と、見どころ満載。その日の川の状態や気候などによっても漁の様子は変わってくるので、“そのときだけ”の鵜飼を楽しめるというのも魅力の一つです。

まもなく開幕するぎふ長良川の鵜飼、その幽玄の世界へ足を踏み入れてみませんか。
ぎふ長良川の鵜飼info
【住所】
岐阜市湊町1-2(鵜飼観覧船事務所)
【期間】
5月11日~10月15日
※2025年10月6日の鵜飼休み及び増水時等は除く
【時間】
乗合船の出船は18:15、18:45、19:15
【料金】
中学生以上3,500円(平日19:15出船のみ3,200円)
3歳以上1,800円
※乗合船の場合
【申し込み】
公式HPまたは鵜飼観覧船事務所窓口で要事前予約
【問合せ】
058-262-0104
【HP】
https://www.ukai-gifucity.jp/