岐阜の染物PART1 吉田旗店

2021年11・12月号の巻頭特集では、「岐阜の染物」についてご紹介しました。読者の皆さんからは「岐阜県にこんなにいろんな染物があったとは!」「染物の伝統を残していけるよう、微力ながら協力したい」など、嬉しいお言葉をたくさんいただき、とてもありがたかったです。
今回は誌面に掲載しきれなかった部分をドドンとご紹介しますので、ぜひご覧ください。

吉田旗店(岐阜市)

相撲の本場所や地方巡業で使われる相撲のぼりをはじめ、のれんや大漁旗などの染物を手掛ける吉田旗店さん。ここでは“美濃筒引き本染め”という染めが行われています。

筒引き
引き染め

美濃筒引き本染めは、“筒引き”と“引き染め”という伝統的な技法を併用した染め方。筒に入れた糊を絞り出して文字を縁取っていく“筒引き”を行い、糊が乾いたら染料の付いた刷毛で生地を染める“引き染め”をしていきます。筒引きをすることによって糊を置いた部分だけが染まらずに、生地の白い色が残るのです。

作業場には何枚もの相撲のぼりがハンモックのように掛けられており、その前では職人さんたちが黙々と作業にあたっています。
技法の名前に“美濃”とあるように、この染め方が美濃地方で発展してきたのには、この土地ならではの理由があります。それは清流・長良川と、かつて柳ケ瀬にあった劇場の数々。歓楽街として栄えてきた柳ケ瀬・劇場通りには多くの大衆演劇場が立ち並び、カラフルなのぼりがはためいていました。そして染物に必要不可欠なきれいな水、つまり長良川がある美濃は、染物をするには最適な場所だったのです。

作業場の壁には何色分もの刷毛と、染料の入ったバケツが置かれていました。職人さんたちの仕事場、といった味わいを感じます。

吉田旗店さんではコロナ禍で大相撲が中止になったことで相撲のぼりの注文が激減。仕事がない時期もあったそうです。
そんな吉田旗店さんで昨年の初夏頃に販売が始まったのが「夕焼けを運ぶトートバッグ」。コロナ禍によって仕事が減り、職人の腕を磨く機会が減ってしまった中でも、“手染めの文化を継承していきたい”という想いが込められています。

 
 
 
 
 
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引き染めの技法を使って長良川で見た夕日をグラデーションで表現した、鮮やかな色合いが目を引きます。染料ごとに滲み方や生地への定着のしやすさなどが異なるため、グラデーションを作るのは実は至難の業なのだそう。
何度も試行錯誤を重ねたひと品、ネットショップでも販売しているので、是非チェックしてみてくださいね。

吉田旗店
所/岐阜市青柳町6-5
時/8:30~17:30
休/土曜不定休、日曜
問/058-251-1852
Instagram @yoshida_hataten

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