初開催!
「日本プリンアワード2022」とは
岐阜とプリン。この2つの取り合わせで今、ビッグウェーブが起き始めているのをご存じですか?
2022年11月5日(土)・6(日)、3年ぶりに開催された「ぎふ信長まつり」。このお祭りでキムタク信長と共に大きな話題をさらったのが「日本プリンアワード2022」です。
全国有数のプリン店20店舗が岐阜駅前に集結して大行列に。お祭り2日目は午前11時で完売するという驚異の人気ぶりで、ぷらざスタッフも張り切って出かけたものの、プリンまで辿り着けませんでした…見立てが甘過ぎた(涙)。
そんな超イベントの仕掛け人こそ、岐阜市の洋菓子店「Plesic/プルシック」のオーナーシェフ・所浩史さん。言わずと知れた「パステルのなめらかプリン」生みの親にして、日本中のプリンをやわらかくした男――現代プリンのパイオニアともいえる存在です。
でもどうして岐阜でプリンの祭典を?実はこれには日本全国30店舗ものプリン専門店を手がけてきた所シェフだからこその想いがあります。
「様々な場所でプリンの開発に携わってきて、プリンには観光地を盛り上げる可能性が多分にあることを感じました。プリンの主な材料は牛乳と卵。この2つはどこに行ってもその土地産のものが手に入りやすいので、地元食材での地域活性に結びつけることができるんです」
岐阜で生まれ育ち、誰よりもプリンのことを知る所シェフだからこそ、「プリンで地元を元気にしたい」、さらには「日本の中心にある岐阜に全国のプリンが集合するイベントがあれば面白いのではないか」、そんな構想に至ったといいます。
プリンの概念を覆す!
所シェフのなめらかプリン
誰もが知る所シェフのなめらかプリンですが、その誕生は1993年のこと、フランスのお菓子「クレームブリュレ」に着想を得ているとか。
「とはいえ、日本人にとってクレームブリュレは甘さもコクもあり過ぎる。なめらかプリンはシンプルにいうならクレームブリュレと日本のプリンを足して2で割ったプリンなんです」
この絶妙なハイブリッドが大ヒットしたのは、現在に至るプリン史自体が証明するところ。これまで誰も食べたことのない、やわらかな口どけのプリンがムーブメントを巻き起こしました。
卵黄だけで固めた、崩れそうなほどやわらかい究極のなめらかプリン。プリンを器に盛らずそのまま食べる“ボトルスイーツ”として定着させたのも所シェフ。
ちなみに近年は、昔ながらの「かためプリン」がブームとなっていますが、実はプルシックでは、この流行の数年前には既にかためプリンも開発&販売開始。
生クリームを加えたコク深くしっかりとかたいプリン。たっぷりのカラメルとの相性も抜群。
「日本中のプリンをやわらかくしちゃったから、今度はかためにふってやろうと思って(笑)」
なんていう言葉も所シェフにしか言えないセリフですが、よく考えたらしばしば勃発するプリンの「やわらかめ派」「かため派」論争も、元をただせばなめらかプリンがあってこそ…。改めて革命的プリンであったことがうかがえますね。
所シェフの熱量が日本中をも巻き込む
壮大な今後のプリン構想
所シェフのお話を伺っていると感じるのが、常に大きな視野で複数の未来図を思い描いていること。例えば今回の「日本プリンアワード」にしても、「岐阜をプリンのまちに」という目標と同時に、日本中のプリンのレベルを底上げしたいという想いもあるといいます。
「職人たちには岐阜を情報交換の場としてもらい、それを地元に持ち帰ってほしいと思っています。このイベントに集まる職人たちは、活躍の場も全国ばらばら。だからライバルというより同じ目標を持った同士という感じかな」
出店者さんもボランティアスタッフも含めて全員が「みんなで勝利に導こう」、「やってよかった」という想いで取り組んだという日本プリンアワード。でも今回のイベント、所シェフの主催であるにもかかわらず、プルシックは出店していないんです。いったいなぜ…?
「もちろん僕も出店して優勝をかっさらう!ということもできるわけですが、あくまで今の目標は、岐阜=プリンのまちにすること。そしてたくさんの人の生きがいの場を作り、社会に貢献すること。そもそも自ら岐阜にプリン屋を増やそうとしている時点で、普通に考えたら商売としてはマイナスですよ(笑)」
なるほど、所シェフが見つめているのはさらに上の次元、さらに先の展望!
「ただプリンを出すお店を増やすだけじゃなく、お互い切磋琢磨して岐阜のプリンのレベルをもっともっと上げたい。やるからには『岐阜=プリンのまち』のブランド価値は大切にしたいですから」
その一環として、ゆくゆくはシェフ自らが厳選した岐阜市内のプリンマップの作成も構想中。また今後の日本プリンアワードでは、四十七都道府県全てから、シェフの選んだプリン専門店を集結させたいそうです。お話を聞いているだけも夢が膨らみますね。
「プリンは単純な素材なので、その分安全性・安心性・おいしさのどれもが前面に出るし問われます。そんな食べ物だからこそ、無添加の食の重要性や、おいしく笑顔になれる食環境を広げていければ…」
そう語る所シェフにとってプリンとはどのような存在なのでしょうか。
「あえて答えるなら、プリンは『ツール=道具』でしょうか。誰かの笑顔を生み出す道具、人に大切なことを伝える道具。そんな存在です」
誰よりもプリンを知り愛する所シェフだからこそ、その言葉には力強い説得力がこめられていて期待が高まるばかり!
地元のこと、お菓子業界のこと、将来を担う子どもたちのこと、日本の食のこと。様々な垣根を超えて常にアイディア溢れ、フル稼働する所シェフのプロジェクト。甘くてとろける絶品プリンと、刺激的で楽しい未来図と。果たして2023年はいったいどんなビジョンが描かれるのか――何はともあれまずはプリンを食べて、ワクワクするプリンのまち構想に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
Plesic(プルシック)
【住所】岐阜市琴塚2-1-18
【時間】 金~日曜の11:00~18:00
【TEL】058-215-9393
【HP】 https://plesic.jp/