寒い冬は辛いものを食べて温かく過ごしたい…そんな時におすすめのご当地グルメが各務原キムチです。市内各地のスーパーで販売されており、飲食店ではそのお店オリジナルのコラボメニューも提供されています。
韓国料理の「キムチ」と「ご当地」。異色の組み合わせに見えますが今や市の名物として定着しています。しかし、そこまでの道のりには紆余曲折ありました。今回はぷらざ1・2月号で載せきれなかった約20年にわたる活動をご紹介します!
各務原キムチが名物になるまで
キムチを使った町おこしを始めるきっかけになったのは、2004年に当時一世を風靡(ふうび)した大人気ドラマ「冬のソナタ」関連イベントが開催されたことでした。
その時に人気を博したのが、お土産品として売られていたキムチ。それを受けて「美味しい地元の野菜をキムチにして売り出したい」という機運が市民の中で高まります。そして翌年には農家や加工業者、飲食店等のメンバーを中心に「キムチ日本一の都市(まち)研究会」が発足しました。
しかし、郷土料理や地元の名産品を使ったグルメによる町おこしが全国的に行われる中、新しい特産品を開発して定着させることは簡単ではありません。そこで研究会はプロデュースにあたって様々な戦略を練ったといいます。
・条件はにんじん・松の実を入れること
市ならではのカラーを出すため、各務原の特産品であるにんじんと高級キムチにも使われる松の実を入れることに。松の実は栄養価が高く、入れるとまろやかな味になります。
・名前はあえてシンプルに
一見地名と料理名を組み合わせただけのシンプルな名前。ですが、これには難読地名として有名な「各務原(かかみがはら)」を覚えてもらえるように、という願いが込められています。
・積極的なPR活動
ご当地グルメは、案外地元の人に知ってもらう方が難しいもの。そこで取った戦略は「市外の人にアピールして外堀から埋めていく」ことでした。新しいコラボメニューができた時はマスコミ等を通じてどんどんリリースしたそう。
・マスコットキャラクター・イメージソングも作成
2005年11月には市民公募で選ばれたマスコットキャラクターの「キムぴ~」が誕生。また各務原キムチイメージソング「キムチの気持ち」も作成しました。
この活動が実を結んだのは2008年。全国のご当地グルメが集結するB-1グランプリに「各務原キムチ鍋」で出場したところ、見事ブロンズグランプリを獲得。全国的に注目されるようになったのです。
その後もご当地鍋フェスタ「鍋-1」グランプリでグランプリ獲得、よこすかカレーフェスティバル2016 全国ご当地カレーグランプリで「カレーマスター賞」受賞、ニッポン全国鍋グランプリ2018では「ヨシケイ賞」受賞と、華々しい成果を残しています。
コロナ禍でもキムチ人口・日本一の都市(まち)を目指して
現在20の飲食店でコラボメニューが食べられる他、カレー、そば、ジェラート、大豆チップス、調味料…とおかずもおやつも関係なく様々な商品が開発されている各務原キムチ。どれも美味しいと評判です。
しかし、活動はそれに留まりません。なんと、毎年12月~1月には「キムチ漬け講習会」を実施しているのです。自分好みの各務原キムチを漬けたり、それを使ったキムチ鍋作りが体験できるこの講習会は、完成したものをご近所さんに配ったりすることでキムチを漬ける文化が広まって欲しい、という願いのもと15年以上続いています。
「一番嬉しかったのは、市民の皆さんに受け入れられて『各務原キムチ美味しいね』という声がいただけたこと。今はコロナ禍に合わせて自宅で楽しめる方法を提案しています。折角『キムチ日本一の都市』を掲げたので、今後は何らかの形で日本一を目指したいですね! その指標の1つが、キムチを食べたり漬けたりする人の数〈キムチ人口〉かな、と思っています」
と、アツい気持ちを語ってくださった研究会の方。市民の協力と粘り強く取り組み続ける力があってこそ、町おこしができるのだなあ、としみじみ感じました。
各務原市を訪れた際はぜひ、熱い想いが詰まったキムチをお試しあれ♪