現在絶賛置き本中の「月刊ぷらざ5・6月号」。その50~51ページでも紹介している「川崎文具店 懐憧館(かわさきぶんぐてん・かいどうかん)」について、本誌では書ききれなかった面白さ&唯一無二の存在感をお伝えしたいと思います!
川崎文具店は、2023年に創業100年を迎えた大垣の老舗文具店。100周年を記念して昨年秋にインクと万年筆の専門店「懐憧館」が誕生し、いま改めて大きな注目を集めています。注目の核となっているのが、5代目社長である川崎紘嗣(ひろし)さん。ハンチング帽とベストを着用し、『大正時代の懐かしさと英国への憧れ』という館のテーマを体現する川崎さんの別名は「色彩の錬金術師 インクバロン」。自らをこう称するその世界観が、文具への造詣の深さが、インクと万年筆への愛と情熱が、周りの関心を集めて離さないのです。
懐憧館ってこんなとこ!
では早速、「懐憧館」を覗いてみましょう。
外観はこんな感じ。隣に川崎文具店本店があります。本店は2025年にリニューアル予定だそうです。
中に入ると、壁一面に川崎さんが調合したオリジナルインクがずらり!360種類あり、全て5mlから量り売りしてもらえるそう。「全部のインクに名前と物語があります。ストーリーなくしてインクを作ることはありません」と川崎さん。「三途川」、「大柿セピア」、「月華紅蘭」といったインクの名前も、物語性たっぷりで正直萌えますね♡
オーダーメイドも受けてもらえると聞いて、「5月5日のイメージで」とリクエストしてみました。
「〇〇のイメージで」なんていう抽象的なオーダーなのに、この世で1つだけの素敵なインクを作ってもらえて感激!インクはガラスペンやつけペン、万年筆で使用することができます。うう、ときめく…。
ようこそ万年筆の世界へ…
インクゾーンの隣は、シックで大人な雰囲気の万年筆エリア。真ん中には川崎さんの趣味だというビリヤード台が鎮座し、陳列棚の役割も担っています。
「2009年に社長職を継ぎ、斜陽産業と言われる文房具店として生き残る方法を考えました。それでもう振り切ろう!と。万年筆とインクに特化することにしたんです」。懐憧館誕生に至る最初のストーリーを、川崎さんはこう語ります。「経営者」としての視点が選んだ万年筆…と、いいつつ、一番の理由は間違いなく「万年筆が好きだから」。取材の間にお聞きした万年筆への愛あるコメントをいくつかご紹介してみましょう。
「ペン1本1本の物語をお客様に伝えたい。一生の相棒となる1本を見つけてあげたい。唯一無二、自分だけの相棒を。自分の書き味に染まった、当たりがやわらかい、使うほどに気持ちが良い『終の一本』を紹介できるお店になりたいんです」
「万年筆は必需品ではなく、自身を高める道具。だからこそ、尊い」
「ハリーポッターの魔法の杖のようなもので、人が万年筆を選ぶのではなく、万年筆のほうが人を選ぶんです。運命の1本は必ず見つかります」
「万年筆はアナログで非合理的でめんどくさい。でもかわいくて愛しくて、名前のとおり数百年持つ。めんどくさいを超えると、“嗜む”になるんですよ」
いかがですか? こんな情熱的な話を聞いていると、万年筆が欲しくなりますよね。(もちろん私も買いました笑!)
懐憧館に行ってみよう
「自分は万年筆の、インクの、文房具の“沼”の底の住人で案内人。どこまでも案内いたしますよ」。軽快に語る川崎社長、その人となりに惹かれて、来館者の滞在時間は数時間に及ぶとともに、時には海外からの来客もあるそう。文具好きなら絶対に行くべき“聖地”と言えるでしょう。
ちなみに2Fは妹さんが切り盛りするイングリッシュカフェ「SOMETHING LIKE THAT(サムシングライクザット)」(上記写真)。インクの調合風景を再現したオリジナルドリンク「飲クカクテル(インクカクテル)」が飲めたり、人生に寄り添う「トラベラーズノート」を扱っていたりと、こちらも魅力たっぷりのお店です。懐憧館を訪れた際は、ぜひお立ち寄りください。もちろんカフェだけの利用もOKですよ。
川崎文具店 懐憧館(かわさきぶんぐてん かいどうかん)
【住所】
大垣市桐ヶ崎町64
【営業時間】
10:00~18:00
※2Fのカフェは10:00~17:00LO(木曜と金曜は13:00~)
【定休日】
月曜、火曜(祝日の場合は翌日)
【駐車場】
近隣の提携駐車場を利用
【問合せ】
0584-78-4223
【Instagram】