この記事は2021年7・8月号掲載時の内容です。
メルヘンな佇まいの超隠れ家へ
本州のほぼ中心に位置し、大日ヶ岳から流れてきた水が日本海側(庄川)と太平洋側(長良川)に分かれて流れる起点「分水嶺公園」。
その木立の奥に建っているのが「ベーコン小舎(ごや)グリュン」さんです。
それにしてもこの建物の風体、まさに真の隠れ家…!
「グリュン」とはドイツ語で「緑」という意味。その名の通りの雰囲気に期待も高まります。
小径を通ってお店まで歩いて行くと、ヒゲ爺こと店主の安田さん、弟子の北村さん、看板犬のポルコがバルコニーで出迎えてくれました。
このシチュエーションも、まるで「アルプスの少女ハイジ」の“おんじ”のおうちに来たみたいなワクワク感です💛
ただしここで“おんじ”が作っているのは、ハムとベーコン。ハム作りに携わって50年の安田さんは、縁あってひるがのでお店をオープン。京都出身、さらにはスキーの先生として活躍していたという異色の経歴の持ち主でもあります。カッコイイですね!
禁断症状必至?美味しさのヒミツ
そんな安田さんのベーコン作りの信条は“手間暇を惜しまないこと”と、“シンプル イズ ベスト”。食べておいしく、しかも安心・安全であること――そのため添加物もスパイスも加えず、塩だけで熟成を行います。
赤身と脂身のバランスが良いというデンマーク産の豚肉を2週間以上塩漬けにしてじっくり熟成したら、桜のチップでスモーク。
こうすることで、旨味がぎゅ~っとつまったベーコンに仕上がります。また熟成に使う塩は様々な種類を試し、優しい味わいのアンデスの紅塩に行きついたそうですよ。
ちなみに看板犬・ポルコの名前は「紅塩+豚肉」の組み合わせに着想を得て、スタジオジブリの名作「紅の豚」=「ポルコ・ロッソ」から命名されたとか!
「なるほど~」なネーミングの由来ですね。風格ある彼の風貌にもよく似合っています。
旨味どっぷりのベーコンは
シンプルな料理で食すのが一番美味
ベーコンはじゃがいもと一緒にソテーするのが安田さんのオススメの食べ方。
ちょっと焦げ目が付くくらいよ~く炒めると、ホクホクのじゃがいもにベーコンの脂が絡まって、とっても美味なんです!
さらに☆☆
グリュンさんに行ったら、ぜひぜひ厚切りベーコンもお試しあれ。
今回はおうちでジブリを意識して、「ハウルの動く城」の食事風に、目玉焼きと一緒に焼いてみました。(コレ、いつかやってみたかったんです…♡)こんなベーコンの贅沢食べは初めての経験!
頬張ると表面カリッ!の中じゅわ~。口いっぱいに旨味が溢れ出て、言わずもがなの幸福感です。シンプルにいただくのが一番! というお話もうなずけます。
実はこのお店、営業は2021年の秋までの予定。なんと安田さん、長野県富士見町に新たなお店を建設中で、こちらで新たな人生のスタートを切るそうです。岐阜県民としてはちょっぴり寂しい気持ちにもなりますが、新しいお店も応援したいですね。
そして――。
現在の「グリュン」は、弟子の北村さんがすぐそば・木曽馬牧場の近くで2022年夏頃、継承予定。獣医の資格を持ち、ひるがのの地に惹かれて移住されてきた北村さんもまた、とても素敵な女性。こうして新しい形で“本当に美味しいもの”が受け継がれていくのは、嬉しい限りです。
キャンプの夕飯や次の日の朝ごはん用に、ベーコンを調達するもよし! 旅のお土産を買いに立ち寄るもよし! まだまだ遠出が難しい時期かもしれませんが、HPよりネット販売もされているので、ぜひお試しくださいね。
ベーコン小舎グリュン
所/岐阜県郡上市高鷲町ひるがの4671-1145
休/火曜
P/有
問/TEL.0575-73-2043
http://www.gryun.com/index.html