「山城攻略図鑑」を楽しむためのお城用語と山歩きの注意点

ぷらざ本誌の新連載「山城攻略図鑑」をより楽しむための用語解説コーナー。連載の進行と共に、加筆・更新していく予定です。

※用語は五十音順に紹介しています。

大手曲輪(おおてくるわ)

正門である大手門を守るために設けられた曲輪のこと。

帯曲輪(おびぐるわ)

山腹を巻くように、長く続く「腰曲輪」のこと。

切岸(きりぎし)

曲輪(※後述)の周囲を削り、人工的に造成した急斜面。敵が這い上がってくるのを防ぐだけでなく、曲輪の面積を確保しつつ守りを強化できるので、山城で多用される防御構造といえる。

切り通し(きりどおし)

山の斜面を切り拓いて造られた道のこと。普段は通路として使われたが、戦の際は斜面を利用して上から石を転がす等、攻撃にも利用された。

曲輪(くるわ)

郭ともいう。塀や土塁で区切られた平坦地のことで、居住空間や駐屯地として使われた。城の中心は「主郭」といい、ここを中心に複数の曲輪が広がる。基本的には本丸(主郭)に近い方から「二の丸」、「三の丸」、または方角で「西の丸」、「北の丸」等と呼ぶこともある。離れた場所に設けられたものは「出丸」(※後述)という。

虎口(こぐち)

城の出入り口のこと。防御の観点では最大の弱点といえる部分だが、土塁をずらして直進を防ぐ「食違虎口(くいちがいこぐち)」、四角い空間を造り側面から攻撃できる「枡形虎口」等が造られ、攻防の要となった。

腰曲輪(こしぐるわ)

大きな曲輪から一段下がったところに、通路のように設けられたスペース。段構造で防御力が強化できる上、切岸をメンテナンスする際にも役立つ。山腹に何段も腰曲輪を設けている城も多い。

▲揖斐城・本丸下を取り囲むように配された腰曲輪・南の丸跡。

惣構え(総構え)

城だけでなく、城下町一帯を含めて外周を石垣や土塁で囲んだ城郭構造のこと。岐阜城においても岐阜公園とその周辺の「井之口」界隈はこれに該当し、土塁も残っている。また惣構えで有名な城が北条氏の小田原城。城下町全体をすっぽり包み込む9kmに及ぶ石垣と土塁の囲いは、小田原合戦において3ヵ月の籠城戦へ持ち込むに至った。


▲岐阜公園近くに残る惣構えの土塁。

▲小田原城の「小峯御鐘ノ台大堀切東堀(こみねおかねのだいおおほりきり)ひがしぼり」は、 幅20~30m、深さ約12mと全国最大規模。

中世城郭(ちゅうせいじょうかく)

南北朝時代や戦国時代など、戦が日常的に起こっていた時代に築かれた山城のこと。自然の地形を活かしつつ、敵の侵入に備えて堀や土塁、曲輪等が築かれている。「土」+「成」=「城」という字の如く、基本的には土から成る土木施設だが、戦国大名の山城には石垣を持つものもある。

▲浅井氏の小谷城は城主や家臣の屋敷も含む、政治・軍事・住居の機能を兼ね備えた巨大山城だった。 写真は両側を石垣で固めた「黒金門」。

出曲輪(でぐるわ)

「出丸」の項を参照。

出城(でじろ)

本城(根城)を支えるための城で、国境などの重要な場所に築かれた。本城を防御するために独立して築かれたもので、本城より小規模ながら城らしい縄張りをしっかりと備えている。岐阜県内では飛騨市の「神岡城」が金森氏の出城として知られている。

出丸(でまる)

本城から張り出して造られた曲輪のことで、「出曲輪」とも呼ばれる。城の最前線を守る施設として、本城から突き出すように、あるいは少し離れた所に設けられた。最も有名な出丸といえば、大坂城に築かれた「真田丸」。大坂の陣において真田信繁(幸村)が豊臣秀頼のいる大坂城を守るために造ったもので、ここから徳川に対して積極攻勢に出た。

土橋(どばし)

堀を掘る際に一部だけ掘り残して橋の役割としたもの。こうした曲輪と曲輪同士を繋ぐ構造は、中世城郭の中でも後期に見られる特徴。

縄張り(なわばり)

城全体の平面プランのこと。本丸はどこに置くか、堀や土塁はどう巡らせるかなど、城の構造そのものを指す。

縄張り図(なわばりず)

現在残る遺構から、曲輪や堀切等の防御施設の配置を読み取り、構造を図面化したもの。堀や土塁、曲輪の縁を実践で描き、斜面はケバ(斜線)で表している。ケバがびっしり描いてある箇所は急斜面、まばらな箇所は緩やかであることを示している。

堀(ほり)

敵の動きを妨害するために、地面を穿ったもの。平面に掘ったものを「横堀」、横移動を防ぐ目的で斜面に掘ったものを「竪堀」、尾根を断ち切るタイプのものは「堀切」と呼ぶ。

堀切(ほりきり)

尾根をスッパリと断ち切る堀。山頂にある主郭部を目指すには尾根筋を進むのが楽だが、これを断ち切ることで進軍が困難になり、敵を足止めできる。曲輪と曲輪を区切る場所にもよく設けられている。

本丸(ほんまる)

城の中心となる最重要区画、城の中核となる曲輪のこと。中世の山城においては、城主は普段は麓の館に住み、有事の際にここに陣屋をおいて指揮を執った。

枡形虎口(ますがたこぐち)

土塁等で四角く囲う、通路を曲げる等の工夫が施された虎口(城の出入り口)のこと。「枡形」とは四角い形のことを意味する。上記のように様々なバリエーションがあるが、城に侵入してきた敵を封殺し、三方から攻撃可能にするのがその目的。

横矢掛(よこやがかり)

横矢とは敵の側面から攻撃することで、塁線に凸凹を設けて多方向から攻撃できるようにしたものを横矢掛と呼ぶ。土塁の屈曲や枡形虎口等で、複数の方向から同時射撃した。

山城散策の心得

【持ち物編】

長袖、長ズボン(着替えもあるとベター)/歩きやすい靴(トレッキングシューズがベター)/リュックサック/軍手/帽子/タオル/虫よけスプレー/虫さされの薬/救急道具/熊よけ鈴/飲み物・軽食/縄張り図(お城の地図)/筆記用具/雨具/携帯電話の充電器

【心構え編】

  • 天気予報は必ずチェックしよう!
    雨・雪・強風など悪天候の日は絶対に登らないこと。雨天の次の日も足場が悪く滑りやすいので注意が必要です。
  • 事前にアクセス方法を確認しよう!
    交通機関の時間や乗り換え情報、駐車場の有無など、交通手段に従って調べておきましょう。
  • 登城時間やコースは調べておこう!
    標準コースタイムをあらかじめ確認しておき、それによって登城開始時刻と下山時刻を予定しておきましょう。縄張り図は、本やインターネット、専用アプリ等で前もって入手しておくのがベスト。電波の届かない山城もあるので、スマートフォンだけに頼り切らないようにしましょう。
  • 周辺施設も確認しておこう!
    山城の近くに歴史資料館やお立ち寄りスポット、名物グルメ、温泉等がないかをチェックしておけば、山城散策がより充実したものに♪ +αのお楽しみも、山城巡りの大切な要素です。

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