【3・4月号】ぷらざの旅レポート・根尾谷断層観察館

今月発行のぷらざ3・4月合併号ぷらざの旅では、本巣市根尾地域にフォーカス。樽見鉄道なら乗り換えなく一本で行ける場所なので、この春のお花見にはぜひ根尾の淡墨桜を満喫していただきたいなあと思っています。

さて今回は、現地で取材を進めていてとても興味深かった「根尾谷断層観察館」についてより詳しくご紹介します。といってもスタッフによる取材レポートのような内容なので、個人的な感想満載になっていることはご了承ください。

根尾谷断層観察館

根尾谷断層観察館

「根尾谷断層観察館」は本巣市根尾を震源として起きた濃尾地震(1891年)によって生じた「根尾谷断層」をそのまま保管し、地震による被害と脅威を伝えている施設。断層だけでなく、地震の仕組みや地震と火山との関係、根尾地域での地震被害についても知ることができる展示が豊富です。

観察館へは樽見鉄道水鳥駅から歩いて3分ほどで到着します。
駅から観察館へつながる車道は緩やかな下り坂になっているのですが、この傾斜こそが根尾谷断層の証。濃尾地震によって6メートルほど垂直方向にずれ動いた地面を舗装したため、坂道となっているのです。地震の際、地面にどれ程大きなエネルギーが加わったのかが分かります。
周りを見渡すと「根尾谷断層現地」の看板があるので、それを目印にぜひ断層を間近に見てみてください。

根尾谷断層

施設の見学は大きな地鳴りの音から始まります。入口になっている暗いトンネル内では「ゴゴゴゴゴ……」という大きな音が鳴り響き、地震当時の様子を再現。実際の地震では地鳴りのすぐ後に大きな揺れが訪れたため、多くの人が「この音はなんだろう?」と戸惑っている間に潰れた家屋の下敷きになるなどして亡くなったと言います。
『根尾村史「当時の岐阜測候所の調査資料より」』によれば、濃尾地震によって当時の根尾の総人口5,548人のうち145人が死亡、362人が負傷。住宅被害としては、総戸数1,039戸のうち全壊が675戸、半壊が356戸にものぼりました。

濃尾地震
資料出典/岐阜地方気象台所蔵

この巨大な地震によって生じた「根尾谷断層」がこちら。

根尾谷断層

黒い土の層が点線の箇所を境に、右と左でずれているのが分かりますか?実物を間近で見るとスケールの大きさに圧倒されるので、ぜひ見に行ってほしい…!
観察館のある水鳥地区は、写真からも分かるように地盤が隆起したことで他の地区と比べて少し高い位置にある台地になりました。地震によって地区が丸ごと持ち上がってしまうなんて衝撃です。

断層はもちろんですが、地震体験館もぜひ見ておきたいところ。
映画館のようなスペースで3D映像を見ながら、濃尾地震と同じような揺れを経験することができます。地震によって家屋が崩れたりする様子が3Dで再現されており、目の前に柱や包丁などが落ちてくる様子に思わず身がすくみます。
実際に被災した人々の証言も併せて展示されているので、少し引用します。

「まず10日ぐらいは船に乗っとるようなもんで、ゆさゆさゆさゆさと1分間と止まっとらへんなんだ。」
「激震後も、山々からは大きな音が鳴り響き、日に数十回の地震があった。」
「水鳥は小学校をいれて45戸だったというが、倒れなかったのは小学校と、石川熊次郎家と本家の川部清左衛門の3軒だけだったという。」


こういった展示を見てから地震体験をしてみると、よりリアルな被害の様子を感じることができるかもしれません。

根尾谷断層観察館
根尾谷断層観察館
根尾谷断層観察館

他には地震の際の地面の動きをシミュレーションした展示も。スイッチを押すと断層を境に地面が動き、断層に対して垂直に通っていた道がぐねっと曲がってしまったことが分かります。

根尾谷断層観察館
Before
根尾谷断層観察館
After

濃尾地震から100年の節目に建設され、地震遺構を次の世代に引き継ごうと尽力する根尾谷地震断層観察館。
巨大地震が来るのは明日かもしれない、40年後かもしれない…。いつ来るか分からない地震に備え続けることはなかなか難しいですが、それが自分の命を守ることにつながることを信じて日頃の備えを大切にしていきたいですね。

ぷらざでは過去に防災に関する知識をまとめた記事もアップしているので、よければ参考にしてみてください。

根尾谷断層観察館

住所  /岐阜県本巣市根尾水鳥512 
営業時間/9:00~17:00(4月)、9:00~16:00(5~3月)
定休日 /月曜 ※祝日の場合は翌平日休
利用料金/大人500円、小中高生250円
駐車場 /あり
問合わせ/0581-38-3560
https://www.city.motosu.lg.jp/0000001399.html

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