【ぷらざ9・10月号】岐阜に伝わる両面宿儺伝説とは?聖地に行ってみた!

アニメや映画でも話題になった漫画作品『呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)』に登場したことで、近年注目が集まっている鬼神・両面宿儺(りょうめんすくな)を知っていますか?実は岐阜県と深い縁があり、県内にはゆかりの場所がいくつもあるんです!
月刊ぷらざ9・10月号の特集でも取り上げましたが、ここでは本誌で書ききれなかったその魅力をご紹介します。

ちなみに、ぷらざのLINEスタンプ「ゆるこわ妖怪百鬼夜行」にもカッコイイ両面宿儺が登場。購入はこちらから♪

両面宿儺(りょうめんすくな)

両面宿儺は強くて怖い!? 日本書記の伝説

漫画『呪術廻戦』ではダークヒーローとして描かれていますが、その元ネタの1つとして有力視されているのが、『日本書記』仁徳天皇65年の条にある伝説です。

仁徳天皇の治世六五年目の頃、飛騨国に宿儺という人がいた。一つの胴体に二つの顔があり、互いに反対側を向いていた。頭の頂はひとつになり、うなじがなかった。それぞれに手足があり、膝はあったが、その裏のくぼんだ部分とかかとがなかった。力強く敏捷で、左右に剣を帯び、四本の手で弓矢を使った。天皇の命令に従わず、人民から略奪することを楽しんでいたため、天皇が派遣した難波根子武振熊(なにわのねこたけふるくま)によって誅殺された。

そこには両面宿儺が飛騨にいたことや、朝廷に従わずに討伐されたことが書かれています。この物語だけ読むと、いかにも”悪役”という感じです。

しかし「勝てば官軍」という言葉があるように、歴史は勝者の目線で語られることが多いもの。果たして両面宿儺は本当に悪者だったのか…。地元を訪ねてみればまた違った一面が見られるかもしれない。そう思ったぷらざスタッフは、宿儺が住んでいたとされる高山市へ行ってみることにしました。

高山の両面宿儺伝説~地元の英雄は仏様になっていた~

実は、高山市では飛騨の地を切り開き、民を守った英雄として慕われているという両面宿儺。 そこで訪れたのは、高山市丹生川町にある善久寺さん。こちらには十一面観音の化身として現れた両面宿儺が、お寺の開祖になったという言い伝えがあり、室町時代に制作されたと伝わる写実的な両面宿儺像が鎮座しています。

善久寺外観
善久寺

【住所】
高山市丹生川町日面788
【拝観可能日】
土曜、日曜、祝日
【駐車場】

【問合せ】
0577-79-2148

お寺の近くには、朝廷との戦いの前に宿儺が食事をしたというお膳石(おぜんいし)が残されています。「民からもてなしを受けた宿儺が、彼らに難が及ぶのを気遣って軒から離れた石をお膳代わりにして食べた」というエピソードからは、ちょっと不器用な優しさが伝わってきますね。

お膳石
表面が凸凹しているのが特徴のお膳石。

飛騨大鍾乳洞~地元の英雄はご当地キャラにもなっていた~

善久寺のすぐそばにある坂を上っていくと、飛騨大鍾乳洞に到着。神秘的な鍾乳石が魅力的なこの場所も、両面宿儺ゆかりのスポットなんです。

まず注目したいのが、駐車場の近くにある合掌造り風の建物。「両面宿儺パネル展」という看板に惹かれて中に入ると、岐阜県各地にある両面宿儺の伝説や、関連する場所に関するパネルが展示されていました。両面宿儺について知りたい時にぴったりです。

続いて鍾乳洞の受付に向かうと、巨大な鍋が見えてきます。

日本一宿儺鍋とすくなっツー等身大パネル
日本一宿儺鍋とすくなっツー等身大パネル。

これは2001~2007年に「飛騨にゅうかわ宿儺まつり」で使われていた直径6.1mの「日本一宿儺鍋」。五穀豊穣を祈り、民を守った宿儺を偲んで、日本一の大きさを誇る鍋(当時)を鋳造。お祭りに来た人々に鍋料理を振る舞っていました。現在は使われておらず、飛騨大鍾乳洞で展示されています。

少し怒った顔のすくなっツー。普段は笑って出迎えてくれるそうなので、見られたら逆にラッキーかも。

巨大な宿儺鍋の前でポーズをとっているのは、高山市のご当地キャラクター「すくなっツー」。両面宿儺がモチーフなだけあって、ニコニコ顔と怒りっぽい顔が背中合わせとなっており、手足もそれぞれ4本ずつあります。

売店には、地元有志の団体・飛騨高山両面宿儺委員会が制作した両面宿儺の歴史を伝えるオリジナル漫画も販売されていました(1冊1,000円)。

飛騨大鍾乳洞

【住所】
高山市丹生川町日面1147
【営業時間】
4月~10月は8:00~17:30(最終受付17:00)、11月~3月は9:00~16:30(最終受付16:00)
【定休日】
年中無休
【入館料】
高校生以上1,100円、小中学生550円
【駐車場】
普通車300台
【問合せ】
0577-79-2211
【HP】
https://www.syonyudo.com/

両面宿儺遥拝所~住み処は祈りの場所になっていた~

両面宿儺遥拝所

飛騨大鍾乳洞から歩いてすぐのところに見えてくるのが、両面宿儺遥拝所。元々山の洞窟内に宿儺が祀られていたのですが、お参りに行くためには厳しい崖を登る必要がありました。そこで、誰でもお参りできるよう麓に遥拝所が設置されたのです。崖崩れ等の理由により、現在洞窟は閉鎖されています。

両面宿儺遥拝所
遥拝所には飛騨千光寺にある円空作の像を模した両面宿儺像が置かれています。
両面宿儺遥拝所

【住所】
高山市丹生川町日面

ここまで高山市丹生川町にある両面宿儺ゆかりのスポットをいくつかお伝えましたが、いかがでしたか?私は今まで抱いていたイメージとのギャップに驚いたとともに、段々と親しみが湧いてきました。さらに地元の方の強い愛が伝わってきて、宿儺は民思いだったのかもしれない、と感じています。

両面宿儺ゆかりの場所は県内にいくつもあるので、ぜひ巡ってみてくださいね!

この記事を書いた人